もらった!
今日は忌野清志郎と鈴木その子に元気をもらったぜ!俺もくそジジイになるぞー!
大家さんに小ダンスをもらったぜ!ちょっとした踊りの振りを教わったんじゃないよ!小さい箪笥をもらったんだ!いらなくなった捨てるやつだぜ!ホテルの冷蔵庫ぐらいの小さな白い箪笥だぜ!小さい車が四つ付いてる。そこらを散歩しているプードルなんかより全然かわいいぜ!
今日は忌野清志郎と鈴木その子に元気をもらったぜ!俺もくそジジイになるぞー!
大家さんに小ダンスをもらったぜ!ちょっとした踊りの振りを教わったんじゃないよ!小さい箪笥をもらったんだ!いらなくなった捨てるやつだぜ!ホテルの冷蔵庫ぐらいの小さな白い箪笥だぜ!小さい車が四つ付いてる。そこらを散歩しているプードルなんかより全然かわいいぜ!
十月某日々 アルバイトをやりに和歌山県に行った。有田は、町中みかんの木だらけだった。歩いていて小腹が空いたら、もいで食ってもえんちゃうか、ゆうぐらいの感じだったが、もいで食うことはしなかった。創立百周年の高校の近所にあったタコ焼き屋は、色の無い、蹴ったら壊れそうなガレージで、店のおばちゃんは笑っていた。有田の他に、和歌山市と御坊と勝浦と新宮にも行った。和歌山市に居酒屋とラーメン屋が一緒くたになった店がひとつ在って、そこでラーメンを食った。毎日食べ続けると痩せるという、麺が黒い備長炭ラーメンをおすすめにしている店だったのだが、普通のラーメンを食った。店員の少年が親切だった。どこだか忘れたが、巨大なカエルのカタチのアーチを乗せた橋を渡った。赤い親ガエルの頭に黄色い子ガエルの乗った、訳の分からん気の狂いそうなデザインの巨大アーチだった。アーチも橋か?虹にみたいなカタチのやつだ。俺は言葉を知らん。こんなことではあかん。しらんあかん。
那智の大滝を見た。那智は地名なのか何なのか分からない。しらんあかん。知る気が無いのがあかんのだ。ごめんやしておくれやし、の芸人、末成由美も訪れたようで、売店に写真が飾ってあった。野球の長島の写真も飾ってあった。
那智黒という飴の看板がやたらとあって、キン肉マンという漫画に出てくるナチグロンというキャラクターの名前はこれを変形したもんなんか、と思った。ずっと差別的な意味を含んだ名前なのかなと思っていた。しらんあかん、と思った。
泊まった新宮のホテルで、近所のスーパーで半額で買った牡蠣フライ、揚げ出し豆腐、ゴボウサラダをつまみにビールを飲みながら、テレビをひとり、観続けた。ちょっと前に実物を見たばかりのカエル橋が出てきて、わお、と思った。金八先生を観て、やっぱええな、と思った。
最近、やる気が全然無い。バンドの練習でスタジオに入ればマイクをぼんぼん落とすし、道を歩いていれば車に轢かれそうになってクラクションを鳴らされて我に返るし、寝ながら本を読めば何度も顔面に落とすし、うどんを食えばすぐに喉につめてむせるし、うんこをしても尻を拭かないし、東京で電車に乗れば茨城県まで行くし、カラオケで演歌を歌ってもコブシを入れないし、酒を飲んでも全部こぼすし、バイトが休みの日に朝早く起きると何をしたらいいのか分からなくなって生きるのがむなしくなるし、起こってもいないことの最悪の結果ばかり考えるし、最初は優しかった女にボロクソに言われて終わる夢ばかり見るし、作曲をしようとギターを抱えたら、何も思い浮かばず、やっと出てきたフレーズは、♪やる気がなくなっちまったー、という最低な代物だった。
今日、握ったビール瓶を何本も頭に叩きつけて割ったら、ちょっとやる気が出た。うちの部屋のベランダによく来る鳥がそれを見て、なにしとんねん、と言って飛び去った。
インターネットで流行のゲームサイト、脳内メーカーというやつをご存知だろうか。打ち込むべき枠に名前を打ち込むと、左を向いた人間の頭を一本線で描いた漫画のような図の中に、脳を表したような不細工な一本線で描いた輪が有り、その輪の中に、その名前の人の脳内イメージはこんなんです、と漢字やアルファベットが一文字づつで、ある名前にはところ狭しと、またある名前にはポツリポツリと、また別の名前にはポツンとひとつだけ、またとある名前には真ん中辺りにポツンとひとつ有って脳を描いた線に沿って一周同じ文字が、とだいたいそうやって連なっていたり密集したりしている場合は同じ文字ばかりが連続していたり集まっているのだが、そんなふうになって表示される。横書きのこの文で例えるのは分かりづらいかもしれないけど例えると、祭祭祭祭祭 死、とか、狂愛愛愛愛X、とか、 枯 、とか、怒怒笑涙泣泣泣、とか、臭臭臭香臭臭臭、とか、蹴打殴蹴蹴蹴 飯、とか、声 声 葉 花 地 宙、とか、母子 話、とか、飛 落 地、とかだ。
自分の名前を打ち込んだら、脳内いっぱいに半々で金、嘘と表示された。金のことはあんまり考えず、嘘を極力つかずに生きることに決めた。
僕は間もなく30歳になるおっさんである。二ヶ月くらい前に、電車に乗っていて唐突にふと気付いたことがある。それは、自分はもう一生、死ぬまでおっさんなんだ、ということだ。少年や青年であった時期は、あるにはあったんだろうが、今やもう記憶の彼方に流れ去ってしまっていて、軽く握っていた吊り革を強く握り直し、いつからおっさんになったんだろう、と思ったがすぐその直後に、俺おじいさんになれるかなぁ、と気弱なことを思った。
でもまぁ、若者に戻りたいのか俺は、と自分に問い掛けるとこれが、そうじゃない。若者をもう一回やるなんて二度とごめんだ。嫌だ。じゃあ、この頭の隅っこに残ってる若者へのあこがれみたいなもんは何なんだコレ。と思って、考えた。結論が出た。それはくだらない代物で、日常に感じるただの寂しさだった。
僕はアルバイトとロックバンドをやっているので、若者と接する機会が多い。周りは若者ばかりで、自分と同じおっさんはポツン、ポツンといる。という状況が多い。それで気が付いたのだが、ほとんどの若者の視界のピントは、そんなポツンポツンいるおっさんにではなく、同じ若者に設定されているのだ。おっさんは、そんな若者の視界の端っこにわずかに、微かに映っているか、もしくはアウト オブ ガンチューかのどちらかなのだ。アルバイトを一緒にやっている若者達や、ライブハウスで会う若者達の中でギャグを言う時、それは間違いなく彼ら若者達に向けて発射しているのに、それが彼らにではなく、発射されたまま空をさ迷って消えていくことが最近多くなった。
どんどん発射しようと思う。
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